第74回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

 第74回(最終回)情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、オンライン会議システムZoomを活用して開催されました。

 第74回は東北学院大学文学部の教授である稲垣 忠先生より、「情報活用能力を育てる・活用する授業づくり」としてご講演いただきました。稲垣先生は、初等・中等教育の授業や学習のデザイン、情報教育、ICT活用を中心に現場に寄り添いながら研究を進められている先生です。近著には、『教育の方法と技術 Ver.2:IDとICTでつくる主体的・対話的で深い学び』『ICT活用の理論と実践:DX時代の教師をめざして』などがあります。

 セミナーは、稲垣先生の「現場の先生方が授業を楽しくできるようになることを目標に、ここまで取り組んできていました」という思いから始まり、参加者の期待も高まります。
 最初に、情報活用能力の定義と、それを育てるためのカリキュラムマネジメントについて、さらには「情報活用能力の体系表例」の作成の背景について説明されました。2022年に改訂されたという宮城の事例からは、どのように「活動スキル」「探究スキル」「プログラミング」「情報モラル」に分けたのかの苦労や、他の地域の分類との関連からも教えていただきました。情報活用能力は、現代の学習の基盤となる資質・能力の重要な一つで、情報社会においてはすべての教科で大事なものであり、ここまでマスターしたら情報活用能力を達成したということはなく、常に高めていかなければならないものであるということを協調されました。EU DigComp2.1やDQ Global Standardsなどの国際的なデジタルスキル・リテラシーの議論についても紹介してくださいました。

 次に「情報活用能力を育てるにはどうしたらいいか」ということについて、ベストな教え方は一つではなく、多様な組み合わせ方が大切であることを述べ、技能として習得する方法知と知識として習得する内容知の点から、単元の学習過程としての情報活用能力、単元の学習内容としての情報活用能力があること、さらに二つを明確に切り分けることは難しいが、どちらよりなのかを考える必要があるということを、丁寧に説明してくださいました。また、稲垣先生がこれまで関わられてきた東京都の情報活用能力育成のためのデジタル教材やNHK for School、システムを用いたカリキュラムマネジメントについて、稲垣先生ご自身が作成に関わられてきたからこそわかる活用のポイントを教えていただきました。

 最後に「情報活用能力を育成・発揮する単元づくり」についてお話いただきました。今では当たり前となりつつある、教科の探究化ですが、いち早く取り組まれてきた稲垣先生だからこその学習の限界や展望、先生の目標ではなく子供のゴールが大切ということに、多くの参加者がうなずかれていました。さらに、先生方が少しでも取り組みやすくなるようにと稲垣先生らが中心となって考えられた情報活用型プロジェクト学習として、「子どもたちが主体的に情報を集め、吟味し、じっくり考えて編集、創造し、切実感をもって他者と伝え合う学び」の必要性を説かれました。これらは「情報活用型プロジェクト学習ガイドブック」や稲垣先生のWebページで紹介されています。

 ご講演後のディスカッションでは、どのようにPBLや探究を進めたり、情報活用能力を高めていくかということについて、多くの意見や質問が交わされ、議論を深めることができました。
 稲垣先生、貴重なご講演をありがとうございました。

 2014年11月1日に堀田龍也先生のご講演で始まった情報リテラシー連続セミナーは、今日で最終回を迎えました。第1回からしばらくは片平キャンパスで、その後、第45回までは東北大学青葉山北キャンパス情報科学研究科棟で行われ、第46回以降はオンラインで実施されました。「情報リテラシー教育のこれからを考える」というテーマの下、74回にわたって開催してくださった堀田先生に深く感謝申し上げます。
 「私たちに必要となる情報リテラシーとは何か、どのように身に付けさせていけばよいか」を軸としたこの連続セミナーを通して多くの学びと出会いがありました。連続セミナーは、第一人者の講師の先生から直接お話を伺うことができる貴重な機会で、さらに堀田先生の見事なファシリテーションによって広がり深まり、毎回あっという間の2時間半でした。堀田先生、ここまで本当にありがとうございました。
 定員を何倍にも超えた多くの参加者からの堀田先生への大いなる感謝と拍手をもって、情報リテラシー連続セミナーは幕を閉じました。

(メディア教育論ゼミOG・登本洋子)

セミナー報告書(第48~74回)

 

PAGE TOP