第68回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

 第68回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、前回に引き続きオンライン会議システムZoomを活用しての開催となりました。

 今回は「教育DXの最前線〜担当課長が本音で語る」と題して、文部科学省 初等中等教育局 学校デジタル化プロジェクトチームのリーダーである武藤久慶氏にご講演いただきました。

 武藤氏は、学校現場で推進が行われているGIGAスクール構想の担当課長です。GIGAスクール構想は3年目、いよいよ学校のあり方がどのように変わっていくのかを考える段階になっています。武藤氏にGIGAスクール構想はどのような経緯をたどり、今後どのように進むべきなのかをお話しいただきました。

 セミナーは、1)武藤氏による講演、2)参加者同士のオンライン上での小グループでのディスカッション、3)武藤氏に対する参加者からの質疑応答、の3つのセッションで行われました。

 全国から200名以上の方が参加してくださいました。

 武藤氏の講演では、まず、GIGAスクール構想の背景に関するお話がありました。その中で、武藤氏は、日本の子どもたちはゲーム等には慣れ親しんでいるが、ICTを学びに使わない傾向があることを指摘し、「ICTを学びの道具にし、賢い付き合い方を教えることが重要だ」とお話されました。また、武藤氏は、子どもが多様化している中で、これまでのやり方ですべての子どもに合った教育をすることの難しさを指摘し、子どもたち一人ひとりが個性化した学びを行い、多様な他者と協働的な学びを行うために、端末が有効であるということを強調されました。

 学校現場におけるGIGA端末やクラウドの活用事例も紹介くださいました。例えば、体育で自分の体の動きを動画で記録して確認をしたり、英語の学習で、端末に向かって音読をし、発音に問題がある単語が一目でわかるように表示されるなど、GIGA端末ならではの新しい学びが紹介されました。武藤氏は、「学校現場は自前主義が強いが、より大事なのは、子どもたちに資質や能力を身につけてもらうことなので、そのために使えるものは使いこなしてほしい」と強調されていました。学習活動と比べて校務でのGIGA端末の活用が遅れている点も指摘されました。例えば、職員会議のハイブリット実施、保護者面談の日程調整、保護者説明会のオンライン実施などは実施率が低く、今後の課題であると説明されていました。

 参加者からの質疑応答では11名が質問し、武藤氏が答えたり、参加者が答えるなど活発な意見交換の時間となりました。中学校の先生から、「学校でGIGA端末の活用をより促進するために自分にできることは何か」という質問や、「保護者に理解をしてもらうためにとうしたらよいのか」等の質問が出ました。また、中高一貫校の先生からは、「大学入試(特に総合型・AO等)でタブレットを使った活動が入ってくるようになれば、高校の授業でもタブレット端末を使った活動をしやすくなる」という意見も出ました。

 武藤氏のお話は、端末によって日本の教育が子どもの個性をより伸ばす教育に変わっていくという期待を持てるような内容でした。セミナーにご参加くださった志の高い先生方が今後の教育を変えていってくださるのだろうと感じました。

 武藤様、この度はお忙しい中、貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。

(メディア教育論ゼミOG・村井明日香)

 

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