第70回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

第70回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は,オンライン会議システムZoomにて開催されました。

第70回は,広島県教育委員会 主任指導主事 村田耕一 先生,廿日市市立廿日市小学校 校長(元宮園小学校 校長) 中谷一志 先生,廿日市市立地御前小学校 教諭(元宮園小学校 研究主任) 二野宮加代子 先生より,「自由進度学習で個別最適な学びに挑む」と題してご講演いただきました。

宮園小学校は,令和2年度より広島県教育委員会の実証事業として,自由進度学習を通じた自立した学びの手の育成に取り組んでいる学校です。宮園小学校では各学期に1単元程度(授業時数でいえば1割強)の自由進度学習に取り組んでいます。子供たちが学習内容や学習方法を選択できるような学習計画表の作成,自作のワークシートによる個への支援,学習環境の工夫としての多様な学習コーナーの設置等,先生方の様々な工夫が子供たちの自立した学習を支えていました。

講演中に流れた子供へのインタビューでは「自由進度学習は楽しい!」「自分のペースで学習を進められることがいい!」「人と比べられないので焦らない」という感想が聞かれ,子供たちが心の底から学習を楽しみ,自己調整をしながら主体的に取り組むことができている様子が伝わってきました。

村田先生から,宮園小学校で実践が進んだ要因は「管理職の明確なビジョンとマネジメント」「協働性を高める主任層の存在」「教職員全体のチャレンジ精神」の3点だと説明がありました。自ら先陣を切って授業を公開された中谷先生,チームで取り組むことに意味があると断言された二野宮先生,そして宮園小学校の実践をご自身の言葉で語ることのできる村田先生。それぞれの立場にいる人が,同じ方向を向いてそれぞれにできることに取り組んだ結果が,今の宮園小学校の姿なのだと感じました。

ディスカッションでは,現在自由進度学習に取り組んでいる,あるいはこれから取り組もうとしている学校や地域の方々から多くの質問,感想が挙がりました。「自由進度学習ではない単元の授業への影響は?」「授業中への子供たちへの関わり方は?」「学校が楽しみながら実践に取り組めるようにするための教育委員会の支え方は?」などの質問に対して,「まずはやってみる」「教師の学びも個別最適」「自由進度学習はメソッドではなくコンセプト」との回答は,徹底的に実践に取り組んできた当事者だからこその説得力がありました。

村田先生,中谷先生,二野宮先生,現場の工夫から実践に向けたマインドに至るまで多岐にわたる貴重なご講演をありがとうございました。

(メディア教育論ゼミOG・八木澤史子)

 

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