第51回情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

2021年4月17日

 第51回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は今回も新型コロナウイルス拡大の影響で、オンライン会議システムを用いた開催となりました。

 フューチャーインスティテュートの佐藤靖泰氏から「GIGAでいこう! 学校アップデート」と題してお話しいただきました。佐藤氏は宮城県の小学校の先生として早くから1人1台端末の活用はじめ様々な実践をし、現在は民間の立場から学校支援をしておられます。また未来の教室実証事業(経産省)にも関わるとともに、小中高の教育ICTのアドバイザーなど、学校や教育委員会の「アップデート」を強力にサポートされています。

 宮城県内を見てもGIGAスクール構想で導入されるOSや端末の種類は様々であり、お互いの環境を知って連携して行くことも大切であるとのご指摘でした。令和3年3月12日の文部科学省通知では押さえるべきポイントが具体的にしかも明確に示されており、これを踏まえつつ、やらなければという義務意識ではなく、この機会を前向きに捉え進めていってほしいとのお話でした。

 次に、多くの先行実践事例を踏まえながら、ICTを学校教育に導入するメリットとして、これまでやりにくかったことが実現できること、子どもたちの学びのモチベーションや学習効果を高められること、授業を効率化できること、授業準備などの時間を短縮できることを挙げられました。

 一方、新聞社の調査では端末の家庭への持ち帰りに後ろ向きな学校が55%と危機的な状況であり、これを乗り越えるためにはまず教師の情報活用能力を高めることが必要で、子どもたちと一緒にググったり、会議提案はプレゼン型にしたりなど、「授業」の前に仕事の仕方をアップデートし、マインドセットを変えていくことが肝要であるとのご指摘でした。

 また、子どもたちと教師がともに歩む方向性について、子どもたちのタイピングスキルを高める、ドリルアプリの活用、プログラミングの充実、研修の効率化(様々な研修パッケージの活用等)、情報活用能力育成の見通しを立てること(各県センターの研究の確認)、国の例示を参考にしたルール作り(PTAや子どもたちの意見とともに高校生のサポートも視野に「アジャイル思考」を持って)と具体のお話がありました。

 最後に、これからの学校はどうあるべきかを考えて、これからの子ども達に必要な力をつけさせることを目標に進めてと、現場の先生たちにエールをいただきました。

 後半はブレークアウトルームが2回設定され、講演への感想や学校の様子などの情報交換が行われました。GIGAスクール構想の進捗に伴い、現場での悩みや戸惑いも増えているようで、活発な意見交換となりました。続く全体の意見交換では、Googleアカウントの設定、机から端末を落とさない工夫、反転授業の留意点、教育委員会との連携の必要性など、広い範囲の質問が出されました。佐藤氏、堀田先生、稲垣先生(東北学院大学)からアドバイスをいただきながら意見交換が行われました。

 特に、様々な場面で教師のマインドセットを変えることが大切と言われる一方、なかなかそれが容易ではないという堀田先生のお話も印象に残りました。

 今回、約130名という多数の参加者があり、ICT活用への関心の高さと学校現場の変化のうねりを感じたセミナーでした。ご講演をいただいた佐藤靖泰氏、痒いところに手が届く情報満載のお話をしていただいたのも、教育現場と教員研修をよくご存知だからこそと感じました。多くの具体的な例を基にわかりやすく指針をお示しいただきましたこと感謝申し上げます。

(研究生・仙台育英学園高等学校 阿部文男)

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