政治や経済とは区別されるところの「社会」――人々の実際的・習慣的生活の内実や、社会意識やエートス、社会関係とかコミュニケーション、存在とイデオロギー。社会の全体構造や制度的位相とそれとの関連を問おうというのが「社会学」の視点です。「情報」と関連づけて、人と人との「やりとり」に焦点を合わせると言ってもかまいません。私たちの研究室では、理論とフィールドワークから、そのリアリティに迫ろうとしています。
理論研究では、スミス、マルクス、ウェーバー、デュルケム、ミード、パーソンズといった古典的な議論から、日本における社会学の展開、カルチュラル・スタディーズ、現象学的社会学、シンボリック相互行為論、障害学の展開などの現代的な議論までをカバーしています。精読で探究課題を深めるのが、その基本姿勢です。
フィールドワークでは、主に日本の農村社会学が培ってきた方法論を受け継ぎ、今日的な「質的研究法」にも視野を広げています。つまり、有意選出、インテンシブな事例調査、半構造的インタビュー、モノグラフ的把握、参与観察、グラウンデッドな接近法、エスノグラフィーの今日的展開など。しかし、技法や手順を一人歩きさせるのではなく、対象とよく対話するために方法論それ自体をも吟味の対象にする姿勢を重視しています。
このように、実直な理論研究と調査研究とが私たちの研究室の車の両輪です。
|