生体の恒常性の維持には神経性、体液性、行動性調節機序が重要な役割を果たしている。これらの調節系は外的、内的負荷に対して秒単位の応答、から年単位の応答等の時系列で応答し、代償されることにより健康な生命維持機能が保持されている。ライフスタイルの異常によりこれらの応答機能に破綻が起こると健康が障害され、生活習慣病等種々の疾病が惹起される。本研究室では、炎症性腸疾患に関する研究、糖尿病を含む生活習慣病に関する研究、動脈硬化に関する研究、精神疾患に関する研究を進めている。
炎症性腸疾患に関する研究では、その発生機序・病態解明とその臨床応用を遺伝因子解析から行っている。特に、日本人炎症性腸疾患の感受性遺伝子の同定、感受性遺伝子の機能解析、バイオマーカーの開発、さらに治療開発を医学系研究科消化器病態学分野と共同で行っている。また疾患感受性に影響を与えるあるいは病態に寄与するエピジェネティクス変化について、臨床検体を用いた解析を行っている。
糖尿病・生活習慣病に関する研究では、特に糖尿病性腎症においてはrenin-angiotensin系との関連や、酸化ストレスとの関与等について詳細に検討している。また学校検診における尿検査の意義についても研究をしている。
動動脈硬化に関する研究では、酸化ストレス分泌蛋白サイクロフィリンAの心血管疾患における役割について研究し、成果をあげている。
精神疾患に関する研究では、精神疾患における中枢ヒスタミンの役割についての研究や、精神疾患の感受性遺伝子の検索を行っている。
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