生体システムにおいては行動レベルの現象を少数の遺伝子情報に還元して論じることはできない。その間に横たわる多くの階層間の複雑な相互作用が両者を媒介しているからである。生命システムの持つ多様な機能の発現メカニズムを明らかにするには、生物学的知見に立脚しながら、トップダウン的モデリングに基づく構成論的アプローチが欠かせない。本研究室では、生命システムのダイナミクスのモデリングを統合的に進めることによって、高次脳機能や生体・生命システムの本質に迫っている。
(1) 生体リズム機構の数理モデリング
遺伝子ネットワークによる振動機構から、振動子細胞集団を経て、行動学的レベルにおける振動機構までを統合的にモデル化する。その成果を交代勤務や時差飛行の就労スケジュールの最適設計に応用する。
(2) 神経回路網ダイナミクスとその機能
神経回路網ダイナミクスが、神経回路の発達・維持や、高次機能において果たす役割について実験的・モデル論的に研究する。
(3) 生体信号処理アルゴリズムの開発と臨床応用
母体腹壁心電図から胎児の心電図波形を抽出するディジタル信号処理アルゴリズムや,ブレイン・マシンインタフェース(BMI)のためのリアルタイム神経情報処理システムを開発し,臨床応用をめざす。
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