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第4回「研究科長賞」受賞
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黒澤怜志さん
(応用情報科学専攻 博士課程前期2年の課程)
博士学位論文題目 :
モバイルアドホックネットワークにおける自己適応型
異常検知手法に関する研究
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黒澤 怜志 さん |
■受賞の感想
正直賞を貰ってかなり驚いています。振り返ると2年前、私は宮城教育大学で数学の勉強をしていま
したが、大学在学中に情報ネットワーク分野に興味を持ったことから、他の大学の異分野からの人を
積極的に受け入れている情報科学研究科に入学してきました。そのようにして希望していた研究室には
入れましたが、最初はついていけず苦しみました。そんなときに支えてくれたのが研究室の先生であり、
仲間でした。みんなに研究について色々教えられ、ストレス発散に野球をするなど助けてもらいました。
そんな自分が賞を取れたのはみんなのおかげだと思います。だからこの場を借りて研究室のみんなに
感謝したいです。
最後に、このような賞はなかなか貰えるわけではないので、これを励みにこれから
更に頑張っていきたいと思います。
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■研究内容
次世代のインターネットでは、いつでも、どこでも、だれとでも通信できることが求められており、その
ための技術としてアドホックネットワークが注目されています。
アドホックネットワークとは、複数の移動端末を持ち寄って、自律的に構成されるネットワークのことです。
各端末はデータ中継を行う機能を持っています。図1のように、お互いのノートパソコンを持ち寄って、その
場限りのネットワークを構成し、情報のやりとりを行います。そのため災害地やイベント会場などの一時的
な場での利用や、自動車などの移動している端末間でネットワークを構成して利用することが考えられて
います。現在のインターネットは、あらかじめ設置された端末をつなぐことを念頭にネットワークが作られて
います。従って、新たにアドホックネットワークの仕組みを導入すれば、端末がどこにあってもインタラクティ
ブな通信を行うことができます。このように、アドホックネットワークによって私たちの生活がさらに便利にな
りますが、その実現にはさまざまな課題をクリアしなければなりません。その中でも安全な通信を行うため
のセキュリティの問題は、特に重要であると考えられています。
アドホックネットワークは誰でも参加することができます。その中で、悪意を持った端末が存在した場合、
データパケットの盗聴や改ざん、なりすましやサービス拒否といった攻撃を受ける可能性があります。
例えば図2のように、送信したデータが悪意を持った端末によって、データパケットが改ざんされてしま
います。このような場合、アドホックネットワークでは、ネットワークに参加したすべての端末がデータ中継
の機能を持つために、データ中継の機能を専用の機械で行っている現在のインターネットよりも、セキュリ
ティの問題は難しいものとなっています。
安全な通信を行うための認証や通信データの秘密性を保つための暗号化を使用した場合、アドホック
ネットワークは各端末の参加や離脱が自由ですので、認証や暗号化を受け持つ特別な仕組みを用いても、
各端末がその仕組みを利用できないケースが発生します。また、悪意を持った端末がネットワークに参加
したことを検知する従来の侵入検知手法も、どの端末が悪意をもった端末であるかを判定するのは大変
困難です。そのため、従来の方法でセキュリティを確保することは不可能でした。
本研究ではネットワークの現在の状態を14次元の特徴で表し、攻撃を受けた場合を動的に学習して、
攻撃の検知を行う手法を提案しました。これをアドホックネットワーク特有の攻撃に対して適用したところ、
8割以上の高い攻撃検知率が得られ、これまでの手法を凌駕する検出精度を達成したことにより、アド
ホックネットワークにおける安全な通信を実現するためのセキュリティ向上に寄与できました。
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