日本人学生対象

経験者の声

Information

氏名 Name 川村一斗 Kazuto Kawamura
学年 Grade 情報科学研究科修士2年 GSIS M2
指導教員 Supervisor 周暁 Xiao Zhou
留学期間 Stay 平成24年9月7日-11月19日 Sep. 7th-Nov. 19th, 2012
受入先 Destination ウォータールー大学 University of Waterloo

Photos

University of WatelooのDavid R. Cheriton School of Computer Scienceの建物
University of WatelooのDavid R. Cheriton School of Computer Scienceの建物
川村(左)と,受け入れて下さったNaomi Nishimura先生(右)
川村(左)と,受け入れて下さったNaomi Nishimura先生(右)
カナダ観光の思い出(ナイアガラの滝)
カナダ観光の思い出(ナイアガラの滝)

はじめに

東北大学大学院情報科学研究科修士2年の川村一斗です. 私は,本研究科のSSSVプログラムを利用して,2012年9月7日から同年11月19日までの2ヶ月半,カナダのUniversity of Waterloo (https://uwaterloo.ca/) に訪問研究員として留学させていただきました.今回はその体験談をまとめてみようと思います.

きっかけ

まず留学を思い立ったきっかけです. それはひとえに私が海外での生活に興味があったからです.以前オーストラリアにホームステイしていた経緯もあり,日本とは違った文化に触れることや海外でのキャンパスライフを体験したいと日頃から強く思っていました.そのことを知っていた私の指導教員である周暁教授と伊藤健洋准教授(以降,周先生,伊藤先生)が,私にこのプログラムを紹介していただいたのが始まりとなります. もう一つのきっかけとしては,世界トップレベルの研究機関で研究することで,自分にとって新しいブレークスルーを生み出したいという思いです.私の研究は,ある程度のレベルで飽和してしまっていたのですが,それを打開するような新たなアイデアは,University of Waterlooのような,世界中から優秀な研究者が集まっている研究機関で得られるのではないかと考えていました.このような2つの考えが留学を思い立ったきっかけになります. このプログラムの申請条件では実質,英語の能力(TOEICのスコアなど)はあまり関係なく,その代わりに,留学先の受入教員の許可を得ることが申請の条件となっています.そのため,英語力がない私にとっては少しハードルが低く申請しやすいものでもありました.

留学先の選定

確かに英語スキルの提示などは必要ありませんが,一番の大きな問題は留学先の選定と受入教員の許可を得ることでした. 今回私はUniversity of WaterlooのNaomi Nishimura准教授(以降,Naomi先生)の元へ訪問研究員として留学したのですが,以前からNaomi先生と面識があったわけではありません. では,どのようにして選定したのかですが,やはり研究室の先生方のコネクションが重要となります.私は自分の今後の研究において必要な知識を持っておられる方ということでNaomi先生を伊藤先生に紹介していただきました.ちなみに伊藤先生もNaomi先生とは面識はなく,お名前を存じ上げていた程度でした. 私の場合,そのような全く面識のない先生に留学したい旨をメールで伝えたことになります.もちろんそのメールでは,今回の事情や留学制度の説明(必要経費は全てこちらが負担する旨など),自分の研究業績,なぜNaomi先生を選んだのかなどをお伝えしました.メールを送った当初はとても不安でしたが,すぐに受け入れ許可の返信をいただくことができ,そのときは本当に安心しました.面識のない方へこのようなメールを送るのはとてもリスクが高いことだと感じますし,相手方のとらえようによっては無視されてしまうケースも考えられますので,その点私は運が良かったと思っています. 留学先の選定において,もう一つ重要なことは,有名な大学であるかどうかだと私は考えています.有名な大学であれば優秀なfacultyの方々がいることはもちろんですし,その大学に通う学生の質も高くなります.私が留学したUniversity of Waterlooは,特にコンピューターサイエンスの分野において世界的に有名な大学で,世界各地から優秀な学生が集っています.実際,そのような環境で研究・ディスカッションをすることは,とても刺激的で充実感溢れるものだったと自信を持って言うことができます.したがって,自分の研究に必要な知識と大学のランク,この2点に重点を置きながら私は留学先の選定を行ったことになります.もしどうしても留学先が見つからない場合は,情報科学研究科国際交流推進室の森山園子准教授(以降,森山先生)に相談してみてもいいかもしれません.

宿舎の選定

受け入れ許可をいただいてから次に行ったことは,宿舎の選定です. 当初,私はホームステイをしたいと考えて探していたのですが,運悪く見つけることができませんでした.そこで,University of Waterlooの物件案内ページを参照し,物件を探し始めました.今回の派遣期間は約3ヶ月という短期間であったため,万が一の場合はホテル暮らしをしようかとも考えていたのですが,そのようなシステムを利用し,滞在可能な部屋を貸してくださるホストの方を発見することができました. また,留学時期も重要となります.日本とは違い,海外の多くの大学では9月から新学期が始まります.したがって,9月から入居者募集などを行う物件もちらほらあるのです.が,そのほとんどは,最低でも4~6ヶ月程度の入居を予定している人を募集しています.なので,最低賃貸期間などにも注意しながら宿舎を選定しなければいけませんでした.これが意外と大変で,条件に合う宿舎を見つけて連絡を取っても断られ,ということがありましたが,私の場合は本当に運が良かったというしかないです,「日本人は礼儀正しい」というイメージも強く働きかけてくれるので,最終的にはきっと良いホストと巡り会えることでしょう.

渡航準備

私の場合,宿舎の選定が終わると,訪問先での研究の準備以外は特に準備することはなかったと思います.カナダへの短期訪問(6ヶ月以内)の場合VISAは必要ありませんし,invitation letterや訪問先での居室もNaomi先生の方で用意していただきました.訪問先での研究テーマも,私の取り組んでいたテーマをそのまま行う形になりましたし,何よりNaomi先生が私の研究テーマに非常に興味を持っていてくれたことがとても良かったと思います.

Waterlooでの生活

次に,University of Waterlooでの研究生活とカナダでの生活について振り返ってみたいと思います. まず,率直な感想として非常に楽しかった,そして,もう少し滞在したかったと感じました.カナダでのステイ先では,私以外に3名のUniversity of Waterlooの学生が部屋を借りていました.毎日夕食後,夜遅くまで共有スペースにて皆でいろんな話をしたり,宿題を手伝いあったり,休日には外食に出かけたり,とても濃密で楽しい毎日を送ることができました.彼らのお陰で,カナダでの生活にもすぐに馴染むことが出来ましたし,あらゆる面でサポートしてもらったのでとても感謝しています. 週末の多くは,カナダ国内の観光に出かけました.日本とは違って(?),「休日は休む,定時には帰る」といったことが浸透しているため,休日に大学で研究を行うということは1度もしませんでした.せっかく海外に来ているのですから,抜くときは抜いて,遊ぶときは全力で遊んだほうが海外生活を満喫できると私は思います.カナダは広大ですので,観光は泊まりがけが多かったのですが,有名な観光地であれば宿泊先に困ることはありませんし,おすすめです. ここまで,遊んでばかりの印象しか残らない話題にしか触れませんでしたが,勿論,研究もしっかりと行ってきました.私の場合,大学側から個別の居室が与えられ,自由に大学へ来て研究ができる環境でした.週に2度Naomi先生との定期ミーティングが設けられ,私の研究の進捗などについて約2時間討論をしていました.受け入れてくださる先生にもよりますが,Naomi先生は本当に優しい先生でした.ミーティングでは常に私が主導となって話をさせてくれますし,忙しい中,時間を割いて研究の相談にも乗ってくれました.そのため,この週2度のミーティングは全く苦にならず,むしろ楽しみで待ち遠しかったです.(最初の頃は何を話せばいいんだろうかと悩みましたが,英語を話す習慣ができると,自然と会話も進むようになります.)それ以外にも,私は関連のある講義を聴講し,研究グループのセミナーにも参加しました.これは,自主的にアポを取って行ったものになります.このように,研究だけではなく,同じ学年の学生が受けている講義を体験してみるのも面白いと思います.また,研究の総仕上げとして成果発表を上記のセミナーでやらせていただきました.これも,アポをとって,時間を割り当ててもらい,実現したものです.できる限り積極的に行動し,やれることは全てやった方が楽しい研究生活を送れると実感していますので,ぜひ参考にしてください.

留学希望の学生に向けて

今回の留学を通して,私が得られた一番の効果は英語アレルギーの克服だと思います.私は英語をバーっと話されると少し気後れしてしまい,また,英語を話す事自体に恥ずかしさというか抵抗がありました.それは英語の発音が悪かったり,語彙力なかったりなどが原因だったと思います.3ヶ月の留学では,英語力の飛躍的な向上というのは見込めないとは思いますが,生きていくために英語を聞き取って喋らなければならないという生活を長期間送ることで,英語に対する恐怖心は取り除かれました.まだまだ文法的におかしな英語を話しますし,発音もひどいものですが,そのような英語アレルギーを克服したことで英語を話すことに全く抵抗がなくなり,今では研究室の留学生とも気軽に日常会話を楽しむことができています.この成長は,これから私が社会に出てからもきっと役に立つでしょう. まだまだカナダの生活や研究に関して思い出はありますが,これから本研究科の奨学制度を利用して海外へ行こうと考えている方へ参考になりそうにありませんので省略させて頂きます.ただ一言でまとめますと,本当に楽しく,あっという間の3ヶ月だったということです.

おわりに

最後に,今回SSSV奨学制度を利用して海外へ研究訪問を行ったことは,とても有意義なものとなりました.研究では多くの成果を挙げることができましたし,もしそのような成果がなかったとしても,恵まれた環境で研究に励むことができたことが価値あるものだと思います.さらに,快く受け入れて下さったNaomi先生や,大学での研究をサポートしてくださったUniversity of Waterloo Algorithms and Complexityグループのメンバー皆さんには,本当に感謝しております. また,周先生,伊藤先生,森山先生には,SSSV奨学制度の紹介や留学の手続きなど様々な面で支援していただきました. ありがとうございました. つたない文章でしたが,今後,奨学制度を利用して海外への渡航・留学を考えている方への参考になれば幸いです.

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