第52回情報科学談話会
日 時: 平成25年10月3日(木) 17時〜
場 所: 情報科学研究科棟2階 大講義室
話 題: 情報システムに求められる物理セキュリティ
〜電磁波が引き起こす情報漏えいとその対策〜
話題提供者: 林 優一 准教授 (実践的情報教育推進室)
概 要:
林氏の講演は水流と電流の説明から始まりました。電流は配線に沿って流れると想定して機器が設計されるが実際はそのようになるとは限らないことを, 電磁誘導によりマイクロストリップラインで起こるカップリングの様子を動画でわかりやすく紹介されました。電子機器の複雑な基板で起こる電磁放射は機器によるノイズの発生をもたらすと同時にその機器がノイズを受けるという側面をもち, ノイズ規制を満たした電子機器には認定マークがついていて, ノイズを出さず受けないという電磁両立性(EMC)は東北大学発祥の分野とのことです。EMC を扱う部隊は様々な企業にいて, EMC を扱える人材の必要性を説明されました。さらにこの電磁放射によって情報漏えいが起こり社会問題になった世界の例を紹介され, 実際にノートPCの画面の電磁放射による別のノートPC上での再構成が可能であることを示す明確な実験結果を示されました。
また, 電磁放射による情報漏えいを防ぐ様々な対策やゾーニングにより外部からの盗聴を難しくする建物設計について紹介されました。ノートPC等は携帯するのでゾーニングは難しく, 情報安全性評価の研究は最近の IEEE のスペシャルセッションで取り上げられているとのことでした。最後に実践的情報教育推進室において現在進行中の実践セキュリティ人材の育成コースについて紹介されました。
講演後多くの質疑応答がなされ, さらに飲み物や茶菓子を囲んで懇談が続き, ノイズ発生の解明やノイズ抑制の方法をオーディオ機器の設計に応用してはどうかという提案もありました。
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