第51回情報科学談話会
日 時: 平成25年7月18日(木) 17時〜
場 所: 情報科学研究科棟2階 大講義室
話 題: 空間情報の可視化
データに基づく都市や地域の実態把握に向けて
話題提供者: 井上 亮 准教授 (人間社会情報科学専攻 人間社会計画学講座 空間計画科学分野)
概 要:
井上氏の講演内容は豊富でした。
井上氏はこれまでの研究の中から2つの研究について紹介されました。 最初の研究は, 地図を変形してデータを表現するカルトグラムに着目された地理空間情報の可視化手法の提案に関する研究で, 面積カルトグラムと距離カルトグラムについて, その基礎理論にある最小二乗法と方位角拘束による正則化について説明され, その適用例として, 都道府県人口変化の可視化, 鉄道所要時間の減少によって日本列島が縮小していく様子等さまざまな興味深い例を紹介されました。
2つ目の研究は, 時空間グリギングと呼ばれる方法論による不動産価格情報の新たな表現法の提案に関する研究でした。まず, 現在公表されている公的不動産価格情報の問題点を述べられ, 専門家以外の人にもわかりやすい不動産価格情報の提案について, その基礎理論にある時空間内挿の基本的考え方を説明され, 東京23区の地価変化のアニメーションや試作された東京23区の地価の時空間分布に関する情報提供ウェブサイト等を紹介されました。
最後に最近の研究の中から, 点集積検出法の提案の研究について, ロサンゼルスの殺人事件発生データの可視化手法を紹介され, 日本ではひったくり事件発生について応用できるのではないかということを説明されました。
講演後多くの質疑応答がなされ, さらに飲み物や茶菓子を囲んで懇談が続きました。また, 聴講者の専門的見地から数理生物学における手法との共通性についても討論がなされました。

|