日 時: 平成24年1月26日(木) 17時〜 場 所: 情報科学研究科棟2階 大講義室 話 題: 計算困難な問題の解決に貢献する基礎研究 話題提供者: 周 暁 教授 (システム情報科学専攻 知能情報科学講座 アルゴリズム論分野) 概 要: 第45回談話会では、システム情報科学専攻 知能情報科学講座 アルゴリズム論分野教授の周暁先生に、「計算困難な問題の解決に貢献する基礎研究」と題してお話いただきました。先生はグラフ理論を応用して計算困難な問題に対してどのように立ち向かうかを、電力系統の配電融通問題や神経ネットワークを例にとり、お話しいただきました。 複数の発電所と複数の需要者が相互にネットワークを組んでいる送電網では、発電所での出力変動や需要の変化に対し、送電網の一部を切り離すことで、停電を最小にした上で電力の融通を可能にするアルゴリズムが求められています。これは、そのままでは計算困難な問題で、高速に最適解を求めることが難しいことが証明されています。周先生の研究室では、こうした問題を解く近似アルゴリズムの研究開発を行っています。現在のところ、送電網の切り替えはオペレーターの経験に基づいて行われているとのことですが、これが自動化されれば、より大きな電力需要に柔軟に対応できる送電網の構築が可能になり、基礎研究が実世界に対し有用な貢献を行えるとのことでした。 講演終了後には、学生さんからの基礎的な数学上の問題に関する質問から電力網の実際的な維持の方法に関する質問まで、多彩な観点から活発に質疑応答が行われました。