日 時: 平成23年12月1日(木) 17時〜 場 所: 情報科学研究科棟2階 大講義室 話 題: 量子暗号・量子情報処理〜新しい通信と情報処理〜 話題提供者: 林 正人 准教授 (情報基礎科学専攻 情報基礎数理学講座 情報基礎数理学II分野) 概 要: 第44回談話会では、情報基礎数理学分野IIの准教授林正人先生に、量子暗号に関してお話いただきました。量子とは、原子や電子、さらには、光の粒子である光子などが持つ、波というアナログ的な性質と独立した単位として数えられるデジタル的な性質の両方をもつ物質の状態をいいます。林先生は、光の一粒一粒がもつ量子としての性質を利用して、信号伝達における暗号を解くための鍵となるデータを送信した時にそれが盗聴されたかどうかを送受信者が知ることのできる量子情報処理に関する画期的理論を開発されました。この理論を応用した鍵情報伝送システムは、現在実証実験を重ねているところであるというお話でした。この量子暗号通信では、鍵情報が途中で盗聴されたかどうかを知ることができるため、盗聴された場合には、その鍵情報を棄てて新たな鍵情報を送り直すことで、情報の流出そのものを防ぐことが可能になります。その結果、従来の暗号鍵を用いた通信とは異なり、今後どれほど高速な計算機が出現しても、その安全性が破られることはないということでした。 当日のお話では、盗聴されたかどうかをどのように知ることができるかについて、偏光板を用いたデモンストレーションも行われ、難解な理論もわかりやすく実感することができました。また、参加者からも、この暗号を用いた通信システムが実用化した場合の問題点などに関する質問が出され、活発に討論が行われました。