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日 時: 平成22年10月21日(木)午後5時00分より
場 所: 情報科学研究科棟2階・大講義室
話題提供者: 木下 賢吾 教授
(応用情報科学専攻 応用生命情報学講座 生命情報システム科学分野)
話 題: 生命情報システム科学:情報科学で生命の理解を目指す
概要:
今回は、生物を分子レベルで理解することを目指すバイオインフォマティクスを概観し、更にその次世代版構築の可能性を議論するのがテーマでした。
まず、生命情報の基盤となるゲノム上にコードされている遺伝子がどのようにタンパク質を発現させるのか、という基本的な問いに対する幾つかのアプローチが紹介されました。具体的には、遺伝子情報とタンパク質の立体的構造との相関関係を解析するアルゴリズムやタンパク質の構造の変化を捉えるためのモデルについての解説がありました。更に、強弱の程度はあるものの、タンパク質の機能が複数あることを理論的に予想され、その様な実例についても紹介がありました。これが大変興味深いのは、薬の副作用と関係しているかも知れないという点です。
後半では、遺伝子情報を機能別にグループ化する事によって得られる ”メタ遺伝子”
という新たな概念の有用性について強調されていました。これは、ゲノム上にコードされた単なる符号の配列より上位の階層に位置付けられるものであり、自然の階層構造という枠組の中に自然な形で融合されていくものです。このメタ遺伝子の解明が次世代バイオインフォマティクスの核心であり、異なる分野で独自に開発されてきた手法を統合・展開していく事の重要性を訴えておられました。
大変豊富な内容について分かりやすく講演して頂いたこともあり、分野外の方にも知的な刺激を与えるお話で、皆さん興味を持って聞いて下さったようです。終了後の質疑応答でも多くの質問や討議があり、活発な意見交換がなされました。 |
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