第39回情報科学談話会
■研究室の学生諸君等、お誘いあわせのうえ、ぜひご出席ください■
■談話会ポスター(宣伝用に使用してください)(pdf)■
日 時: 平成22年10月21日(木) 午後5時00分より
場 所: 情報科学研究科棟2階・大講義室
話 題: 生命情報システム科学:情報科学で生命の理解を目指す
話題提供者: 木下 賢吾 教授
(応用情報科学専攻 応用生命情報学講座 生命情報システム科学分野)
すでにヒトを含む1000種以上の生物種で全ゲノムの塩基配列が明らかにされ、
その数は増え続けている。しかし生物を分子レベルで理解するためには、ゲノム
の塩基配列を読み解くだけでは十分ではなく、ゲノム上にコードされている遺伝
子及びその遺伝子産物であるタンパク質の働き(機能)や発現調整のメカニズム
を明らかにしなければならない。さらに、遺伝子産物のタンパク質は直接相互作
用することで複雑な相互作用ネットワークを作っているが、このネットワークこ
そが生命を形作る基本的な仕組みであり、分子レベルで生命を理解する基盤とな
る。複雑な生命システムを理解のためには、まず要素としての遺伝子と要素間の
相互作用としてのタンパク質相互作用を明らかにする必要がある。最終的にはす
べての遺伝子の機能は実験で検証されるべきであるが、すべての遺伝子に対して
全ての可能な機能の有無を実験的に調べることが非常に困難であるところに、計
算による機能予測の必要性が生ずる。また、近年の急激な生命情報の高次元化に
ともない、実験により遺伝子の機能を明らかにするためにも実験データの情報科
学的解析が不可欠となりつつある。分子生物学が出来て50年あまり経った現在、
生命情報の質・量の急激な増加により、生物学は情報科学の一分野へと変化しつ
つあるとも言える大きな変革の時代を迎えている。
本講演では、我々が開発を行ってきた遺伝子機能推定法を、タンパク質の立体
構造に着目した分子機能予測から相互作用ネットワークを利用した細胞機能予測
まで幅広く紹介する事を通じて、学際分野であるバイオインフォマティクスを概
観したい。また、現在緊急の課題となっている生命情報ビックバン(生命情報の
爆発的増加)への対応を通じて、新しい生命科学としての次世代バイオインフォ
マティクスの可能性についても議論したい。
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