日 時: 平成20年9月25日(木) 午後5時30分〜午後7時30分 場 所: 情報科学研究科棟2階 大講義室 参 加 者: 約20名 話 題: 言語の普遍性と多様性を見るひとつの視座ー位置変化構文をめぐってー 話題提供者: 小川 芳樹 准教授 (人間社会情報科学専攻 言語情報学分野) 概 要: 小川准教授は、言語習得に関して、子供は母語をまっさらな状態から類推と汎化を通して獲得していくとする経験主義的立場と、子供による母語獲得は生得的な能力によって支えられているとする合理主義的立場という二つの対立する基本的な立場があることを述べられた後で、もし合理主義的立場の中でも特に言語習得は言語に固有な生得的能力・知識を用いて行われるとする生成文法の立場に立つならば、言語は多様であるのもかかわらず、その文法形式が一定のパターンのなかでしか変異しないのはなぜかとか、子供による母語の習得が育った言語環境の違いにもかかわらず、個人差なく3歳くらいまでに確実に行われるのはなぜかといった疑問、さらにはわれわれが母語に関して一度も見たことのない文であっても、その容認可能性をほぼ個人差なく判断しうるのはなぜかといった疑問等にかなり明快に答えうるものだということを話されました。講演はきわめて包括的、かつわかりやすいものであったので、参加者からの質問も活発でした。