「第29回情報科学談話会」開催のご案内
日 時: 平成19年11月29日(木) 午後5:30より
場 所: 情報科学研究科棟2階 大講義室
話題提供者: 栗木 一郎 准教授 (システム情報科学専攻 高次視覚情報学講座)
話 題: 脳内における色情報の符合化について
概 要: 眼球に入射した光は最大吸収波長の異なる3種類の視細胞に吸収され,
色の情報は3種の視細胞の応答比率で符合化されます.しかし,網膜を
出る前に視細胞応答の組み換えが行われ,赤/緑,青/黄の反対色信号
と輝度信号に変換されて脳へ送られることがわかっています.
一方,視覚情報は網膜から外側膝状体を経て大脳に至り,海馬を経て記
憶されます.いわば記憶は視覚情報の最終形ですが,記憶の中で色信号
はカテゴリー的な不連続な符合で扱われることがわかっています.
では,これらのレベルの中間にあたる,大脳の初期視覚野において色情
報はどのように符合化されているのでしょう?サルでの電気生理学的な
研究は試みられていますが,人間ではなかなか解明が進んでいません.
その理由は,視覚情報処理経路の「中間レベル」を選択的にかつ非侵襲
的に刺激する事の困難さにあります.
本講演では,呈示刺激を工夫することによってこの問題の克服を試みた
心理物理学と計算モデルを用いたアプローチと,脳機能計測(fMRI)
を用いたアプローチの2つについて最近の成果をご紹介します.
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