第39回統計科学セミナー(2026年2月9日開催)「臨床検査値相互換算式のノンパラメトリック推定法」のご案内
講演概要:
臨床検査値は、同一検査項目であっても、機種間で異なる値を示す場合がある。機種の入れ替えや異なる機種を用いる施設間で転院があった場合、換算することで適切に病状を評価できる。換算式の作成は、残念ながら線形回帰分析が頻用され、機種AからBの換算式とBからAへの換算式が互換可能でない弱点を有する。Deming回帰のような説明変数側にも誤差を持たせた回帰手法で、互換可能な式は推定できるが、誤差分布の仮定に依存する。Passing-Bablok法は、換算式の線形構造のみ仮定し、誤差分布を仮定しない点でノンパラメトリックな手法として知られる。しかし、2機種間に限られ、3機種以上での相互換算式を作成することができない。本研究では、方向統計学における軸球面中央値推定法を応用し、3機種以上の相互換算式の推定法を提案する。さらに、測定がmissing completely at randomな欠測を有する場合にも、換算式の推定を可能とした。シミュレーションを通して、Deming回帰と既存のノンパラメトリック法であるDufey法と性能比較を行った。提案法は、Deming回帰に比べ誤差分布によらずにバイアスの小さな推定が可能であり、Dufey法に比べアルゴリズムの収束が安定する特徴がみられた。
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