第28回統計科学セミナー(2025年7月23日開催)「脳画像解析のための拡張成分分析法」のご案内

講演概要:

 脳画像データ解析は、ボクセルの配列値を基盤とし、脳疾患の診断や治療において重要な役割を果たしている。近年では、処理速度の向上と解析結果の説明性の確保が大きな課題となっている。本研究では、次元削減によるスコアリング手法を用いて、脳画像における重要な特徴を抽出する。適切に得られたスコアは、脳画像バイオマーカーとして活用可能であり、計算コストの削減と高い説明性が期待される。解析の前処理として行う解剖学的標準化は、標準脳画像へのボクセル位置の合わせ込みを行うものであり、空間的な標準化(位置・サイズ・形態の調整)を通じて、異なる対象者間でも同一座標のボクセルを脳の同一部位として比較可能にする。この標準化処理後、行に被験者、列にボクセルを配置した脳画像データ行列が構築され、行列分解法の適用が可能となる。提案手法である「マルチ教師付きスパース成分分析」は、従来の行列分解法を発展させたものであり、膨大な脳画像データを段階的な線形変換により効果的に縮小する。さらに、スパース推定後の逆変換を通じて関連する解剖学的脳領域を同定し、結果の説明性を高める。また、マルチ教師付きにより、多群比較や、マルチ教師の一部を反転させることで不要な変動を非学習する解析が可能となり、脳画像スコアリングの新たな展開が期待される。

イベント概要

イベント名称   脳画像解析のための拡張成分分析法
日  時

  2025年7月23日(水)16:30 - 17:30 

開催場所 東北大学大学院情報科学研究科棟2階大講義室
講 演 者 川口 淳(佐賀大学大学院医学系研究科 生物統計学・生物情報学分野)
対 象 者 講演に興味のある学内外の方(研究者,学生,その他)
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