情報基礎数理学 III

情報基礎科学専攻

情報基礎数理学 III A03 Mathematical Structures III

  • 村上 斉 教授 (Prof. Hitoshi Murakami)
研究キーワード結び目理論、3次元多様体、低次元位相幾何学、量子位相幾何学

結び目理論の研究

私の研究課題は結び目理論です。

結び目とは、図1のようなもつれた輪のことです。右の2つの結び目がほどけていないこと、また、それぞれ異なった結び目であることは、直感的にわかると思います。では数学的に証明してください、と言われたらどうしますか?

結び目理論では、これらの結び目にある(負の冪も許した)多項式を対応させて、その多項式が異なっているから結び目も異なる、という議論を行ないます。図2は、有名なJones多項式の計算方法を表わしています。この「漸化式」を使って図1の結び目のJones多項式を計算すると、すべて異なることがわかります。このように、結び目理論では結び目という直感的な対象を多項式のような代数的な対象に置き換えて研究することがよくあります。

また、結び目の入っている3次元空間から、結び目そのものを引き抜いて(空間の中からドーナツが消えたと考えてください)、別の方法で埋め戻す(ドーナツをひねってから元に戻します)ことで、全く違った空間を作ることもできます。このようにしてできた空間は3次元多様体と呼ばれますが、局所的にはわれわれの住んでいる3次元空間と同じことに注意してください。

結び目理論や3次元多様体の研究は、近年量子位相幾何学という理論物理的な手法も取り入れてますます発展しています。

 

図1: 77結び目(左),816結び目(右)(Mathematica により作成)
図2:結び目KのJones多項式 V(K)を定める漸化式