研究科長挨拶

情報科学研究科長 徳山 豪

新しい情報科学の構築と展開

情報科学研究科長徳山 豪

東北大学大学院情報科学研究科は、「新しい情報科学を創造し、豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」という理念のもと、1993年に情報基礎科学、システム情報科学、人間社会情報科学の3専攻体制で設立されました。2003年には、現実社会の多様な諸問題解決のための学際的研究手法の発展を目的として、新たに応用情報科学専攻が新設され、裾野の広い新しい情報科学の構築を目指してまいりました。

 

本研究科では、東北大学での情報通信分野の研究の輝かしい歴史と実績を背景に、自然科学、人文科学及び社会科学において基礎から応用まで多種多様な研究分野を擁しております。それぞれの個別分野で世界的な業績を上げており、国内外の3,053名に修士の学位を、741名に博士の学位を授与するなど、多くの有能な人材を社会に送り出してきました。

 

「情報科学」は情報技術の開拓の担い手であることは言うまでもありませんが、今やほぼ全ての学問領域と関わりあっています。また、Webやスマートフォンなどの情報技術が身近な存在になり、経済や社会の仕組みのみならず、人間の生き方や心の在り方にまで高度情報化が影響を及ぼしていることも実感するところであります。したがって、現代社会の発展における我々情報科学の役割としては、情報技術の進歩への貢献はもちろんですが、それに加えて地域・国際社会や市民生活への影響を考慮した人間主体の情報社会の進歩という観点が重要となります。結実として、人間主体の豊かな未来情報社会の実現を先導する学際的な情報科学の開拓を行い、グローバルな情報化時代におけるイノベーションや新規産業開拓、社会システム構築を行える人材育成が期待されております。
 そのために、東北大学大学院情報科学研究科では、個々の研究分野で深い研究を進め、各々の分野で世界的に高い評価を受ける高度な研究成果を挙げると共に、それらの多種多様な分野間の相互作用によって裾野を拡げることにより、学際的な情報科学を開拓し、広い視野を持つグローバル人材を育成することに努力しております。

 

このような活動を支援するため、研究面においては2005年より研究科重点研究プロジェクトを設定し、さらに研究センターや研究ユニットを構築して、研究科を挙げて取り組む体制を実施しております。研究科重点プロジェクトは大きな成果に発展しており、「安心安全社会構築のための横断型情報科学研究」では、大規模災害での被害軽減を目指して研究を行い、その成果は福島原発の調査に貢献したQuinceロボットの開発など、社会の課題に答える研究に展開し、主催の田所教授は、IMPACTプロジェクト「タフロボティクス」のプロジェクトマネージャとして日本の防災ロボティクスをリードしています。また、「バイオインフォマティクス―大量生命情報の解析」は東北メディカルメガバンク機構における重要な要素として次世代情報化医療への情報技術の活用へと展開しており、「多様なセンサー情報と大規模シミュレーションを融合した道路交通流のナウキャストとフォアキャスト」は、震災ビッグデータ解析をはじめとして、ビッグデータ利活用の実践として注目されています。現在は「ビッグデータ応用を拓くカスタムスーパーコンピューティングのソフトウエア/ハードウエア基盤技術」及び「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」を研究科重点プロジェクトとして推進し、ビッグデータ時代の技術と数理の先端を切る研究を推進しております。

 

教育活動においては、平成29年度からデータ科学国際共同大学院を東北大学のスーパーグローバル大学院構想の一環として開始しました。ここでは、海外の大学とのジョイントスーパーバイズ教育を含むデータ科学の高度実践教育により、一層のグローバル人材育成を実践いたします。 これに加えて、産学連携人材育成、英語で受講できる国際コースや産学連携教育、留学支援や博士学生リサーチアシスタント支援など、グローバル化時代の高度人材育成のための様々な取組を構築しております。さらに、「情報リテラシー教育コース」を設置し、情報倫理・モラルが問われる時代における情報教育を行う教育的指導者の育成に、世界に先がけて取り組んでおります。

 

このような取り組みを活用し、研究科の教員、学生を含む構成員が一体となり、情報科学の恩恵を享受できる豊かで安心な社会の実現を目指し、多様化した現代社会の問題に柔軟に対応できる「新しい情報科学」を世界に発信してく所存です。