東北大学大学院情報科学研究科は、1993年に本学初の独立研究科として創設され、2025年で創立32周年を迎えます。本研究科は、情報科学を自然科学・工学にとどまらず、人文・社会科学をも包含する「知の総合領域」と位置づけ、社会課題の解決と未来社会の創造に資することを理念に掲げてきました。これまでに4,240名の修士および989名の博士に学位を授与し、学術の発展と産業技術の振興を支える卓越した人材を輩出してきました。
現代社会が直面する課題――少子高齢化,気候変動,エネルギー問題,AI倫理など――は,かつてないほどに複雑化・多様化しています。これらの課題を解決するには、単なる技術開発だけでなく、社会制度や人間の行動理解といった視点も不可欠です。すなわち、理系の知(サイエンス・エンジニアリング)と文系の知(人文・社会・倫理)を融合する「文理融合」のアプローチが、課題解決の鍵を握っています。
本研究科では、情報基礎科学、システム情報科学、人間社会情報科学、応用情報科学の4専攻のもと、AI、量子コンピューティング、数理科学、セキュリティ、ヒューマンインタフェース、言語処理、行動分析など多様な研究を展開しています。また、タフ・サイバーフィジカルAI研究センター、純粋・応用数学研究センター、統計科学研究センター、NEC・パナソニックとの共創研究所などの拠点を通じて、産官学が連携し、社会実装を見据えた先進的な取り組みを推進しています。
教育面においても、データ科学国際共同大学院(GP-DS)や、2023年度に採択されたNIFSプログラム(Society 5.0時代の新しい学際領域人材の育成)を通じて、文理融合型・国際協働型の高度人材育成を進めています。
2024年11月、東北大学は日本で初めて「国際卓越研究大学」に正式認定されました。この制度は、世界トップレベルの研究大学への飛躍を支援する国家的プロジェクトであり、情報科学はその根幹を担う分野の一つであり、情報科学研究科は、学際連携のハブとして、研究・教育・社会連携の面で中核的な役割を果たしています。現在、次世代の研究・教育拠点として、情報科学研究科2号館の建設も進行中です。
情報技術が社会の基盤となるこの時代において、私たちは、世界に貢献する「新しい情報科学」の創造と発信を続けてまいります。今後とも、東北大学大学院情報科学研究科への温かいご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
令和7年4月1日