第45回 情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

〈2020.7.5〉

 第45回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、7月4日(土)に岡山大学大学院教育学研究科教授寺澤孝文先生をお迎えして実施されました。新型コロナの影響から、前回のセミナーが2月に実施されて以来、しばらく連続セミナーの開催が見送られてきました。今回は、参加者の皆様の体験も兼ねて、オンライン会議システムZoomを活用しての開催となりました。今回の題目は「高精度教育ビッグデータで大きく変わる教育評価と生徒指導」です。寺澤先生は、記憶の研究を行っていらっしゃる心理学者で、マイクロステップ・スタディという学習方法を考案され、研究と実践を行っていらっしゃいます。

 本セミナーでは、思考力やコミュニケーション能力、主体的・対話的な学びにより多くの時間を使えるように、覚えるだけの学習における無駄をどの様に省くかについて、ご説明をいただきました。そもそも、長期記憶には、「顕在記憶」と「潜在記憶」があります。マイクロステップ・スタディでは、学習を短期的(一夜漬けのよう)に覚える顕在記憶ではなく、経験の積み重ねなどによって消えない潜在記憶とするために、各学習者の状況に合わせて、個別に反復学習のタイミングをコントロール(マイクロステップ・スケジューリング技術)して、わずかな学習を繰り返し行い、学習成果を上げる手法です。繰り返し学習を行うには、学習者に高いモチベーションが必要となってきます。マイクロステップ・スタディでは、学習者がモチベーションを維持できるように、日々の学習の評価とフィードバックを積極的に行っていきます。寺澤先生のご講演では、約20年に及ぶ研究成果からデータを用いて、マイクロステップ・スタディの効果をご紹介くださいました。
 このマイクロステップ・スタディでは、各学習者の学習状況を把握するために、高精度の教育ビックデータが必要となってきます。近年のGIGAスクール構想によって、学習者一人一台の情報端末が整備されると、高精度の教育ビックデータの収集が可能となってきます.寺澤先生は、より多くのデータを取得するためには、家庭での学習も重要となるため、GIGAスクール構想によって整備された情報端末も学習者が家に持ち帰って学習利用することが重要だとおっしゃっていました。

 寺澤先生は、教員が如何に優秀でも、クラス全ての子どもの全ての教科の学習状況を正確に理解し、マイクロステップ・スケジュール技術を用いてタイムリーに各学習者に適切な問題を提供することは難しいが、コンピュータなら可能だとおっしゃっていました。せっかくGIGAスクール構想で学習者一人一台の情報端末の整備が行われるので、教育現場で、その情報端末=コンピュータの力を有効活用してほしいとおっしゃっていました。
 堀田先生は、寺澤先生のご講演のまとめとして、「既にマイクロステップ・スタディのようなICT機器を活用した実践的な学習方法も登場してきており、もはや教育にICTが必要かどうかの議論をしているフェーズではなくなってきている」とおっしゃっていました。これまでビックデータは、社会一般ではよく聞く言葉でしたが、学校教育の中でも活用できるのだと再認識しました。

 今回はこれまでの連続セミナーとは異なり、Zoomを用いたオンライン会議での講演とZoomの1機能であるブレークアウトルームを駆使したディスカッションが行われるなど、今日的な連続セミナーになりました。初めての試みでしたが、参加者の皆様から沢山のご質問が集まり、活発な議論となりました。

 寺澤先生、この度は大変お忙しい中、貴重なお話をしてくださり本当にありがとうございました。

(博士後期課程3年中川哲)

窪俊一代表による開会挨拶 岡山大学 寺澤 孝文先生による講演「高精度教育ビッグデータで大きく変わる教育評価と生徒指導」 質疑応答の様子 堀田龍也教授と参加者とのディスカッションの様子