第30回 情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

2018.6.2
 第30回情報リテラシー連続セミナー@東北大学が62日(土)に開催されました。
今回は、東京学芸大学 教育学部准教授 細川太輔先生をお迎えし、「学習環境としてのICT国語科の事例から」をテーマにご講演いただきました。

細川先生は、子供が言葉を使って考えて伝え合う活動や、そのための学習環境に関する研究に取り組まれ、東京学芸大学 次世代教育研究推進機構では、次の時代の子供たちが備えるべき能力観の研究の中核的な存在を担っておられます。国語科教育の枠にとらわれず、多方面でご活躍されておられる先生です。


セミナーでは、3つのテーマについてお話しくださいました。
 1.アメリカの教育におけるICT
 2.学習環境としてのICTの事例紹介
 3.効果的なふりかえりを引き出すICT体験

1.アメリカの教育におけるICT
細川先生が、アメリカに行かれた際に訪問された、シアトルとサンノゼの学校での実践が紹介されました。
高校では、生徒自らが作った設計図を元に、手が不自由な人でも使えるカメラを開発する授業を、幼稚園では、PCを使った読み聞かせの様子をご覧になり、ティーチングマシンとしてのICTではなく、学びの道具としてのICT、子供たちの学習環境としてのICTという捉え方が心に残ったということでした。


2.学習環境としてのICTの事例紹介
細川先生は、アメリカでご覧になった実践も含めて、「学習環境デザイン」という視点で授業を捉えておられました。
授業をアスレチックに例えられ、「楽しみながら遊んでいると、自然と筋力がついてくるアスレチックのように、授業も、子供たちが夢中になって活動をしていると自然に力がつくというようにデザインしていく」というお話が印象的でした。

具体的な授業例として、「ライトキューブの作り方ビデオを作る」という授業の映像を見せていただきました。
子供たちなりに、作り方ビデオを作ったものの、出来上ったビデオは、「手元が画面に写っていない」「LEDのプラスとマイナスの説明がない」「スマホの使い方の説明がない」という内容でした。そのビデオを隣りのクラスに見せ、実際にビデオ通りの作業してもらいながら、友達が作業をする様子を通して作成したビデオの問題点を発見し、発見したことをもとにビデオを作り直す、という子供たちの様子が授業の中で見られました。
教師ができていないことを直接指摘するのではなく、友達とのやりとりを通して、子供たち自身で問題を発見していく様子は、まさにICTが「学び合いと問題解決を引き出す学習環境」として役立っていることを感じました。


3.効果的なふりかえりを引き出すICT体験
実践の一つとして紹介していただいた「DASを用いた話し合い」では、その様子を実際に自分たちで体験することができました。DASDiscussion Assessment Service)とは、議論の場の参加者の行動を定量的に分析し、可視化するクラウドサービスのことです。
与えられた新聞記事について5人、または6人のグループでディスカッションし、その後、グラフや図で可視化された話し合いの様子を確認しました。ある時間にだれがどれくらい話をしていたか、話をしている人に対して、どれくらい反応していたか、ということをグラフや図によって確認すると、参加者からは、「自分ばかりがずっとしゃべっていたのか」という反省が聞かれたり、「意識してみんながしゃべるように心がけた」というふり返りが聞かれたりしました。

細川先生曰く、「自己評価できることと実際に話し合いを修正できることは異なるが、話し合いの様子を視覚化することで、自己評価の材料になる」ということでした。


講演後のディスカッションでは、
ICTが主役ではなく子供たちが主役、という考え方が抜けていた。ICTを使うことで、子供たちにどういう影響があるか考えていきたい。」
「はさみとのりを使い分けるような感覚で、ICTや黒板、チョークを使ってはどうか。」
ICTというよりも、ICTというツールを使った先にある人の生活を豊かにする方法を検討するのが大事。」
といった話題が挙がり、参加者それぞれの立場で今日の講演内容が深まっているのを感じました。

細川先生、ありがとうございました。

(博士課程後期2年 八木澤史子)

窪俊一代表によるプログラムの紹介 堀田龍也教授によるセミナーの紹介 東京学芸大学 細川太輔先生による講演「学習環境としてのICT ―国語科の事例から」 ワークショップの様子 グループディスカッションの様子 質疑応答の様子