第11回 情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

<2016.2.24>
 第11回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、静岡大学学術院教育学領域准教授の益川弘如先生をお迎えして、1月30日に行われました。今回の題目は「21世紀型スキルをどう育てるか」です。

 益川先生は認知科学の先達である故・三宅なほみ先生に師事され、学習科学、特に協調学習を専門に研究なされている若手の第一人者です。学習のメカニズムと授業形態に関する研究を続け、最近では教員養成にその知見を生かした実践研究も行ってらっしゃいます。

 益川先生はまずはじめに、21世紀型スキルのバックグラウンドの一つである、トランスリテラシーについて説明してくださいました。トランスリテラシーとは多種多様な情報をその人なりに組み合わせて、自分の次の行動や、他の人に提案するための新しい知識を作り上げていくリテラシーのことだそうです。これが21世紀型スキルにも共通する大事な考え方なのだそうです。

 益川先生が監訳を務められた『21世紀型スキル』の原著は、2009年にMicrosoftとIntelとCisco Systemsがスポンサーとなり、各国の研究者やOECD、ユネスコ、IEAなどを集め行われた研究の結果がまとめられています。そこでは、これからの社会で必要な資質・能力を10個のスキルとして再定義されており、それが21世紀型スキルと呼ばれるものです。現在は、この21世紀型スキルをどのようにして学校教育を通して育てていくか、ということが問題となっている段階だというお話でした。

 21世紀型スキルを育成するためには、様々な教科を通してそれぞれの21世紀型スキルを発揮しながら学んでいくことが必要だと仰っていました。そして、波多野誼余夫先生の「適応的熟達者と定型的熟達者」の例をとって、21世紀型スキル育成のための考え方を説明して頂きました。

 適応的熟達者と定型的熟達者はどちらもその道のプロであることには変わりありませんが、定型的熟達者は一定の活動を間違えなく行うことを目指すのに対し、適応的熟達者はコア概念を中心に知識をネットワーク状に持っているため、新規の場面でも柔軟に知識を組み合わせて対応できるそうです。これを21世紀型スキルに置き換え、予測できない未来に対しても解を作りながら生きていくためには、適応的熟達者のように、自分の専門領域だけでなく他の領域からも学び、また必要に応じて学び直していく姿勢を身に付ける必要があるそうです。

 また、適応的熟達者が育つ環境から類推して、21世紀型スキルを身に付けるための授業として、以下の4つのことに配慮する必要があると仰っていました。
①一緒に検討したい「問い」はあるか
②対話するための「考える材料」はあるか
③対話しながらじっくり答えを考える「時間」はあるか
④「疑問作り」を教師が先取りしていないか

 そして、子供にとっては、基礎基本を覚える段階から「これはどういう意味があるのか?」や「どういうことなんだろう?」という疑問を持って学んでいくことが大事であり、教師にとっては、子どもたちがそうした疑問を持てるよう、我慢強く待つことが重要になると仰っていました。

 最後は、ワークショップとして21世紀型スキルを身に付けるために考案された「知識構成型ジグソー法」というプログラムを全員で体験しました。他人と知識を共有して作り上げる活動を実際に体験してみることによって、その後のディスカッションではそれぞれの立場から課題点や問題意識について活発な意見がみられ、それぞれの実践や研究に繋がる有益なディスカッションを行うことができました。

 益川先生、ありがとうございました。

(博士課程前期2年 相沢優)

堀田龍也副代表によるプログラムの紹介 静岡大学学術院教育学領域 准教授 益川弘如先生による講演「21世紀型スキルをどう育てるか」 ワークショップの様子