第10回 情報リテラシー連続セミナー@東北大学を開催しました

<2015.12.9>
 第10回情報リテラシー連続セミナー@東北大学は、徳島県東みよし町立足代小学校教諭の土井国春先生をお迎えして、12月5日に行われました。今回の題目は「全児童1人1台のタブレットPCの5年間」です。

 土井先生がお勤めになる足代小学校は平成22年度から総務省が行ったフューチャースクール推進事業の実証校として、1人1台のタブレットPCをはじめとしたICT環境を構築し、学校でのICT活用の研究を進めてこられました。

 土井先生はまず、足代小学校の「現在の姿」についてお話しくださいました。それによると、現在の足代小学校では、堅実な板書指導やノート指導を通して児童の聞くこと・書くことを活性化し、そうしたアナログの指導と実物投影機やタブレットPCなどのICTを組み合わせることによって従来の教育の中で新しいICTを無理なく活用されているそうです。今回はこうした現在の実践に至るまでの足代小学校の実践の軌跡を沢山伺うことができました。

 足代小学校では、フューチャースクールの実証校になってから数々の先進的な取り組みを行ってきたそうです。例えば、教室に簡易プラネタリウムを作ったり、球体のスクリーンに月を写したり、全国の学校とのテレビ会議やタブレットPCを使った体育の授業での動きの可視化など、指定事業だからこそICTの機能を使えるだけ使って実践を行ってきたそうです。しかし、そうした授業が多分にイベント的であったり、持続可能性が低いこともあったとも仰っており、現在は、全員が授業の中で日常的にICTを活用することこそが「先進」だと考えているとお話くださいました。

 また、土井先生は、ICTが常設された教室では授業づくりの原点に立ち戻る必要があると仰っていました。ICTが教室に常設され、授業の型に慣れてくると、ICTを使って行う授業づくりの技術が授業の成否を分けるようになるそうです。たとえ良質なコンテンツを使って授業をしても、その前後の学習活動がどのようなものかによって児童の学びは全然違ってしまうと仰い、その例の一つとして「動きの可視化」を紹介してくださいました。足代小学校では子供の跳び箱を飛ぶ姿をタブレットPCで撮影し振り返る学習が行われてきましたが、そうした動きの可視化から学ぶことは児童にとって言うほど容易ではなく、ややもすると大人の学び方を子どもの学び方に入れ込んでしまうことになるのではないかと言われており、はっとする場面でした。

 そして土井先生は、流れ・文脈の中で学習をすることの重要性を強調されていました。ICTが可能にする学習活動はこれまでになかったという点で価値あるものですが、しかし、教師が児童と関わりながら学んでいくプロセス抜きにはあまり効果が無いものだそうです。フューチャースクールとして1人1台のタブレットPCはじめ充実したICT環境で実践を行ってきた土井先生だからこその、児童の学びを確かに捉えた言葉だと感じました。

 講演後のディスカッションもいつにもまして熱が入り、それぞれの立場から良質な学びを得ることができました。

 土井先生ありがとうございました。


(博士課程前期2年 相沢優)

窪俊一代表によるプログラムの紹介 徳島県東みよし町立足代小学校 土井国春先生による講演「全児童1人1台タブレットPCによる5年間」 グループディスカッションの様子 堀田龍也教授によるディスカッションの様子