日本人学生対象

経験者の声

Information

氏名 Name 畠山信也 Shinya Hatakeyama
学年 Grade 工学研究科修士1年 ECEI M1
指導教員 Supervisor 尾辻泰一 Taiichi Otsuji
留学期間 Stay 平成25年x月x日-x月x日 XXX. xth-XXX. xth, 2013
受入先 Destination Universite Lille 1

留学を思い立ったきっかけ

留学を思い立ったきっかけは、自分の指導担当の先生に勧められたというのが大きかったのですが、私は海外への渡航経験がなく、これからの社会はますますグローバル化が進み、海外において経験を積みたいと思っていたところでの海外留学の話は、またとないチャンスだと思い留学を決断いたしました。留学先はフランス国のモンペリエ第二大学、リール第一大学に決まったのですが、それはもともと研究を通して交流のあった大学から選ばれました。フランスにしかない光学装置で行う実験の中で、自分の研究室で設計したデバイスから得られる特性への期待はとても大きいものでした。また、この留学には、同期の川崎氏も参加することが決まっていたましたので、大変心強く感じました。

図1 凱旋門
図1 凱旋門
図2 エッフェル塔
図2 エッフェル塔

留学のきっかけ

今回の留学のきっかけは,私の指導教員である尾辻泰一教授のご助言によるものでした.研究室内で留学の話が持ち上がるまで,本プログラムの存在すら知りませんでした.元々,海外志向は有しており,就職の内定先も海外赴任があるところでしたので,英語力の向上や海外での耐性をつけるためにも,この機会を逃す訳にはいかないと,留学を決意しました.また,学校を通してのオフィシャルでかつ自身の研究の利益になる留学ということで,目的が明確でありモチベーションの維持が容易で,費用の面も補助をしていただけるということも,留学への決意を後押ししたと考えております.

留学先の選定

きっかけでも述べたとおり、留学を決めた時点で大学はほぼ確定していました。そして、受け入れ教員の先生も、もともと交流の深い先生が、世話役として、我々の面倒を見てくれました。モンペリエではドミニク先生という方にお世話になり、リールではギオーム先生という方にお世話になりました。連絡の主な手段はe-mailであり英語で行いました。フランス語の語学留学ではないため、現地での実験を含め、フランス語で教員の先生と会話する機会は挨拶程度しかありませんでした。宿舎は、キッチン付きのアパートホテルを選択しました。日本のホテルに比べると、アメニティなどが不足しているので、準備が必要だと感じましたし、硬水なのでシャワーを浴びる際は女性の方は髪の毛のケアが必要だと考えられます。私達の場合は、ともと交流のあった場所への留学だったので、注意するべき点などを事前に知ることが出来たのですが、本当に見知らぬ土地に行く場合は、念入りな調査が必要だと感じました。

図3 滞在先ホテルでの様子
図3 滞在先ホテルでの様子

留学中の研究内容

今回行った、研究はAsymmetric-Dual-Grating-HEMT(ADGG-HEMT)の光応答に関する実験でした。

ADGG-HEMTは、好感度のテラヘルツ波検出器として期待されており、2つのゲート電極を用いてプラズモンカップリングの効率を上げ、非対称なゲート構造を取ることで、プラズモン共振器の境界条件の非対称性を向上させるというものです。モンペリエ第二大学では、光応答の周波数依存性と、ゲート電圧依存性について実験を行い、また、クライオスタットを用いた温度に対する特性の変化を測定しました。リール第一大学では、データコミュニケーションに向けた実験系の検討と、ADGG-HEMTの応答についての考察を行いました。大学での研究では、イメージング応用に特化した光学系や、低温実験を可能にするクライオスタット、2THzの光源を用いた測定など、自分たちが使用したことのない装置を使うので、担当の先生と一緒に、実験装置に慣れることから始まりました。実験の方向性は先生の意見を参考にしながら、自分たちが必要な結果を出すためにはどうすればよいか考え、英語によるコミュニケーションを行いました。研究の中で、留学先の担当の先生(ドミニク先生)から、光応答の測定の際にドレイン電流を印加しながら光応答を測定する測定方法を提案され、印加しない場合に比べて数倍の感度の光応答を得ることが出来ました。よって、時間の許す限りは様々な実験に取り組んでみることも必要だと感じました。

帰国後の研究成果の進展や研究成果発表

現在もモンペリエ第二大学、リール第一大学とは共同研究中であるが、結果はまだ論文などでは発行されていません。今後、我が研究室の保有するデバイスをモンペリエに送り、長期的に実験を行うという計画もあります。

留学中に触れた外国生活や文化(週末の旅行等)

フランスで重要なのはあいさつを交わすことだと感じました。コミュニケーションの始まりは「ボンジュール」であり、その言葉なしに良好な他人とのコミュニケーションの構築は不可能です。また、フランスの街並みはというと、繁華街のレストランは一日中にぎわい、活気を見せていました。しかし、治安の面では、日本に比べて浮浪者が多かったり、観光客目当てにお金をだまし取ろうとする人が多かったり、いくら華の都パリといえども、気を抜けないのがフランスといった印象でした。また、交通の面では、TGVを始めとした、SNCF(フランス国鉄)による移動がほとんどで、国内の移動はそれでほとんど事足ります。しかし、気をつけないといけないのは、切符を乗車する前に刻印することと、フランスでは頻繁にストライキがあるので、乗りたかった電車に乗れなかった時にどのような対策をとるべきか、頭に入れておく必要があることです。

図4 フランス国鉄沿線
図4 フランス国鉄沿線

週末の旅行について、まず気をつけたのは疲れを平日に残さないこと、あまり滞在地から遠くに離れすぎないことでした。最初の滞在地である、モンペリエからは、さほど遠くない場所にカルカッソンヌという城壁都市があったので、そこを訪れました。伝統料理のカスレは豆とアヒルの肉をふんだんに使ったものでした。次の滞在地であるリールは、駅前に、日本人アーティストの草間彌生氏のオブジェが展示されていて、とても親近感がありました。また、リールからはベルギーが近いので、本場のワッフルを味わい、小便小僧とも対面することが出来ました。週末を適度に楽しむことは、研究の疲れをリフレッシュすることができるので、近場でも定期的にするべきだと感じました。また注意すべき点は多々ありました。たとえ近場であっても、国をまたげば言葉も駅のシステムも変わり、住んでいる人達の人柄もガラリと変わりますし、地下鉄の治安の悪さなどは特に注意が必要でリュックなどは出来るだけ避けるべきだと感じました。そして、チケットの手配なども全て英語で行わなくてはならないので、細心の注意が必要だと感じました。

図5 城塞都市カルカッソンヌ
図5 城塞都市カルカッソンヌ
図6 小便小僧
図6 小便小僧

留学により得たものとは

留学を通して、フランスの実験系を利用し、日本では得られない結果が得られました。それは、留学しなければ使うことの出来なかった実験系によって得られたものであり、留学先の大学の先生方の熱心なご指導の賜物でした。またそれだけではなく、海外での滞在は自分の視野を広げ、グローバルな視点で物事を感じるきっかけを与えてくれました。共同研究で滞在したフランスであったのですが、それ以前に人と人との繋がりを感じることが出来た、とても有意義な滞在になりました。今後はこの経験を活かして、世界目線で物事を捉え、日々変化する社会を見つめながら研究に取り組み、世界に向けて成果を発信して行こうと思います。

図7 ノルマンディーの村
図7 ノルマンディーの村
図8 モン・サン・ミッシェル
図8 モン・サン・ミッシェル
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